町田そのこ著の『52ヘルツのクジラたち』を読みました。
2021年本屋大賞を受賞した作品です。
2024年3月1日に実写映画も公開されました。
深く悲しい気持ちになりながらも、それに気付けるようになりたいと思わせてくれる本でした。
作品情報
書名: 52ヘルツのクジラたち
著者: 町田そのこ
出版社: 中央公論新社
ページ数: 260ページ
単行本・文庫本
Kindle版有 (2024年3月現在)
この本をおすすめする人
- 孤独を感じている人
- 悩みを打ち明けられない人
- 身近な人が悩んでいて、それを救いたいと思っている人
あらすじ
家族から虐待され続けた女性・貴瑚は、ある出来事もきっかけに東京から大分の海辺の町にある家に移り住む。
もう一人でひっそりと生きていくのだと決めていた貴瑚だったが、母親に虐待され「ムシ」と呼ばれている少年と出会う。
他のクジラたちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で一頭だけの孤独なクジラのように、貴瑚も「ムシ」も孤独だった。
貴瑚は自分と重なる部分をもつ「ムシ」を救いたいと、動き出す――。
読んだ動機
友達におすすめされたので、読んでみました。
友達~!本当におすすめしてくれてありがとう~!
感謝するほど良い本でした。
感想
読んでいて、貴瑚や「ムシ」の苦しさや悲しさがこちらにも伝わってきて、辛い気持ちになりました。
けど、ちゃんと救われる終わり方になっています。
虐待されていた貴瑚を救い出したのは、アンさんでした。
アンさんは貴瑚の出す52ヘルツの声を聞いて助け出してくれたけど、貴瑚はアンさんの出す52ヘルツの声を聞くことができませんでした。
そのせいで、アンさんとは二度と会えなくなってしまいます。
そこが私的には、一番辛さを感じた場所です。
だって、もしかすると私も同じかもしれません。
私の悩みを感じて助けてくれる周りの人たちの声、私は聞けていなかったかもしれません。
口に出して相談できるような悩みを聞くことはできていても、奥深くにある悩みを聞くことができていたとは思えません。
この本を読んで、52ヘルツの声を聞けるようになりたいと強く思いました。
どうしたらそんな人になれるのか今は分からないけど、沢山沢山考えて、いつかはそんな人になりたいな。
そして、貴瑚の友人の美晴。
彼女はずっと、貴瑚に寄り添っていました。
貴瑚を救ったのは、アンさんだけではなく、美晴もです。
美晴のハッキリとした性格、強い優しさ、凄く憧れます。
町田そのこ先生の著書は初めて読みましたが、きれいで、優しい文章を書く方なんですね。
別の作品も、読んでみたいと思います。
〈余談〉
知らなかったんですけど、52ヘルツのクジラって実在するんですね。
今回それを知る良いきっかけになりました。
本の良いところは、自分が生きている世界だけでは知らなかったことが、知れるところですよね。
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