馳星周著の『少年と犬』を読みました。
直木三十五賞を受賞した作品で、東日本大震災で飼い主を失った犬「多聞」が、東から西へと様々な人との出会いや別れを繰り返しながら旅をしていく物語となっています。
一匹の犬との出会いによって前に進もうとする人々。
別れはすぐに訪れますが、多聞と過ごした温かい一時を、一緒に感じることができます。
愛犬家の方にもおすすめの一冊です。
作品情報
書名: 少年と犬
著者: 馳星周
出版社: 文藝春秋
ページ数: 312ページ
単行本・文庫本
Kindle版有・Audible版有(2024年3月現在)
この本をおすすめする人
- 犬が大好きな人
- ペットを失って悲しい思いをしている人
あらすじ
家族のために犯罪の手助けをしてしまう男、幼いころから窃盗を繰り返してきた泥棒、冷めた関係になりつつある夫婦、両親と右脚を失い自殺しようと考える少女、恋人との関係に悩んでいた娼婦、妻に先立たれ自身も病になってしまった老人、震災によるショックで声を発さず笑顔も見せなくなってしまった少年――傷ついた人々に、多聞は寄り添っていく。
読んだ動機
友人におすすめしてもらいました。
知らない本だったので、この本を知るきっかけをもらいとても感謝しています。
動物系の話って切ないのが多くて悲しくなるけど、やっぱり動物好きだなって気持ちにさせてくれるので、好きです。
感想
救われるようで、救われていないような、そんな物語でした。
多聞と出会った人たちは、みんな悲しい出来事があって、そんな時、偶然多聞と出会います。
多聞は賢く礼儀正しい犬で、みんな多聞のことが大好きになりますが、多聞はいつも、どこか別の場所にいる人に会いたがっているような素振りをみせます。
そんな様子を見て、多聞と出会った人々は、多聞を手放したくないと考えつつも、最終的には別れを選ぶのです。
多聞がいつも向いている場所へどうにか連れて行ってやろうとするのは、悲しくも優しい気持ちになりました。
「あんたたちの魔法って、人を笑顔にするだけじゃないんだね。そばにいるだけで、人に勇気と愛をくれるんだ」
『少年と犬』馳星周
人という愚かな種のために、神様だか仏様だかが遣わしてくれた生き物なのだ。
『少年と犬』馳星周
多聞と出会った人々は、心を癒してくれるその存在は、神の遣いのようだと考えます。
でも本当にそうですよね。
話せなくても、そこにいるだけで勇気や希望がもらえますもんね。
それにしてもなんだか犬を飼いたくなるお話です。
昔実家で飼っていた犬を思い出すなぁ。
そのあと私は実家を出てしまったけど、あの子と過ごした少しの日々、今でもはっきりと覚えています。
大事な家族、またいつかお迎えしたいな。
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