望月麻衣著の『満月珈琲店』シリーズを読みました。
2024年6月現在で第5弾まで出版されており、表紙は桜田千尋さんの綺麗なイラストとなっています。
心が洗われていくようなイラストと、じんわり温まるような物語をぜひ一緒に召し上がってください。
今回は、読む順番もあわせて紹介していきます。
作品情報
書名: 満月珈琲店の星詠み
著者: 望月麻衣
出版社: 文藝春秋
文庫本
Kindle版有・Audible版有(2024年6月現在)
この本をおすすめする人
- 占いが好きな人
- 猫が好きな人
- 自分を見失っている人
- 他人の気持ちを優先してしまう人
- 綺麗な表紙の本が好きな人
あらすじ
満月や新月の夜のみ営業する満月珈琲店。
注文することができないというそこは、猫のマスターと店員が客にあったフードやスイーツ、ドリンクを用意してくれる。
そして占星術で悩みを抱えた客を導いてくれるのだ――読んでいる人も癒される温かい物語。
読む順番
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満月珈琲店の星詠み
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満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと~
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満月珈琲店の星詠み~ライオンズゲートの奇跡~
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満月珈琲店の星詠み~メタモルフォーゼの調べ~
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満月珈琲店の星詠み~秋の夜長と月夜のお茶会~
一応順番通りに読まなくても問題ないようにはなっていますが、他の巻の登場人物が別の巻でも出てきますので、時系列のことを考えると順番通り読むことをおすすめします。
読んだ動機
綺麗なイラストの表紙に惹かれました。
どんな人でも受け入れてくれるような不思議な優しさをもつイラストですよね。
物語に出てくるメニューのイラストも、お腹が空いてしまいそうなほど美味しそうです。
感想
第1弾 満月珈琲店の星詠み
自信がなくてチャンスを失ってしまうことって結構あるよな~と感じました。
シナリオライターの瑞希がスランプで仕事がうまくいってなくて、企画がだめだったと知った時、すんなりと引き下がってしまうところで、仕事仲間の明里が「以前の瑞希だったら食い下がった」と考えたところ、自信をもつって凄く大事なんだなと思わされました。
自信をもっていた時期だったら、瑞希は明里が求めたように食い下がっていたはずです。
チャンスを掴み取る人ってきっと一度だめだと知っても「じゃあどうすればいいか?」を考えられる人なんでしょうね。
私もそれはなかなかできないなぁ。
本当にやりたいんだったら諦めないでしょって言われることもあるけど、他人からの言葉の力って絶大だからくじけちゃうこと多いですよね。
でもたしかにやり方って一つじゃないですし、今回だめだっただけで次回もだめと決まったわけじゃないし、やり方を変えることで突破できるかもしれませんね。
だから瑞希も自分のスランプを突破することができたんですよね。
ちなみに瑞希のその後は他の巻にちらほらとでてきます。
頑張っている瑞希の姿を知ることができて、なんだかこちらも嬉しくなりました。
第2弾 満月珈琲店の星詠み~本当の願いごと~
サブタイトルの通り、自分の本当の願いを知ろうとする物語でした。
「お金持ちになりたい」「キレイになりたい」――色々な願いごとを皆さんももっていると思います。
それが本当にあなたの願いごとですか?
第2弾ではそれをさらに掘り下げて、自分の本当の願いに気付かせようとさせてくれます。
例えば聡美は仕事をとるか、家庭をとるか悩んでいました。
「仕事が好き」「東京が好き」「家庭か仕事どちらかを選ばなければならない」――そう思っていた聡美は仕事を優先していましたが、姪の愛由が来たことをきっかけに、自分が仕事も家庭も選びたいことに気付きました。
どうなるか分からないけど、恋人とも話し合えばいいということに気付いた聡美のすっきりとした気持ちがこちらにも伝わってくるようでした。
うまくいくといいなぁと思わずにはいられませんでした。
第3弾 満月珈琲店の星詠み~ライオンズゲートの奇跡~
第1弾、第2弾とは違って、沢山の人がでてくるわけじゃなくて、2人(少しだけもう1人も)の物語でした。
この2人は過去をずっと引き摺っていた2人です。
若い頃に付き合っていたけど、別れてしまって、年月が経って再会することになります。
この2人の恋愛は、なんだか美しい青春を見させてくれたようでした。
2人の見た綺麗な景色が、ハッキリと思い浮かぶんですよね。
最後はちょっと驚かされてしまいますけど。笑
1回離れたことで、余計その人が自分にとってどれだけ大切だったか分かることがありますよね。
この2人はまさにそうだったんじゃないかと思います。
2人がまた、幸せに過ごすことができたらいいなと願うばかりです。
そしてこの第3弾では、運気が滞ることについて教えてくれます。
「人の運気が滞る最大の原因は『自分を偽る』ことです。京都で子育てをしていた時に何かと上手くいっていたのは、偽っていなかったから。たとえ少しの偽りでもそれを重ね続けると、大きな歪みとなっていく」
『満月珈琲店の星詠み~ライオンズゲートの奇跡~』望月麻衣
なるほど、とは思いますけど、すべて自分の心に正直に生きることってかなり難しいですよね。
どうしたってやりたくないことだってあります。
じゃあどうすればいいか。
それは三つのことをするだけです。
「一つは、本音を認めることです。藤子さんの場合で言うと、まずは『実家に帰りたくない』という気持ちを蔑ろにしない。たとえばですが、『そうだよね、実家に帰りたくないよね』と認めてあげる。二つは、その本音を発している自分に対して事情をしっかり説明し、そして謝る。『帰りたくない。けど、帰らなきゃいけないんだ。ごめんなさいね』と。三つは、自分の中で決意表明をする。『帰りたくなかった私だけど、実家に帰る。これは自分で決めたことで誰のせいにもしない』――と」
『満月珈琲店の星詠み~ライオンズゲートの奇跡~』望月麻衣
自分の気持ちを認めることはよく聞きますが、その後どうすればいいか知りませんでした。
自分に謝って、誰のせいにもしないと誓えばよかったんですね。
これは実践していきたいですね。
第4弾 満月珈琲店の星詠み~メタモルフォーゼの調べ~
第2弾で出てきた小雪の再登場!
第2弾では、派遣社員であることを悩み、正社員になりたいと願っていた小雪でしたが、無事正社員として働いていました。
それも、満月珈琲店を訪れ、自分の本当の願いがなにかをしっかりと考えて、自分の気持ちに素直になって動いていたおかげ。
まさか北海道に行ってるとは思いませんでしたが。笑
教えに素直に従っている小雪はすごく素敵だなと思いますし、見習わなきゃいけないなと思いました。
ちなみに第4弾は小雪が自分以外に満月珈琲店を訪れた人と出会ったり、星遣いのヴィーナスがどうやって星遣いになったかが判明する物語となっています。
星遣いの子たちも、悲しいこともあって、でも誰かに愛されていて、心がぎゅっと切なくなるような気持ちになりました。
人間に助けられたからこそ、満月珈琲店で悩んでいる人間を導く。
そんな優しさが繋がった物語なんだと改めて思わせてくれました。
また、「幸せなシモベ」という短編も収録されています。
主人公の千佳は姉が飼っている猫を一時的に預かることになるという話なんですが、預かっている間に猫の魅力、そしてそれに繋がる自分の魅力にも気付くことができるようになりました。
最後は猫の預かり期間を延ばしたいと姉に頼みます。
千佳はすっかり猫の「幸せなシモベ」になってしまいます。
読んでいる間猫の可愛さを思い出せて、ほっこりする気持ちになれました。
猫飼いたいなぁ(言い続けて早5年)。
第5弾 満月珈琲店の星詠み~秋の夜長と月夜のお茶会~
自分の気持ちを他の人に伝えるって大事なんだなと思わせてくれた物語でした。
地元に縛られ続けた百花も、親に嫌われていると思っていた総悟も、妹の彼氏を好きになってしまった果歩も、もっと早く自分の気持ちを話していれば、苦しい時間は短かったかもしれません。
でもきっと、これもタイミングだったんでしょうね。
苦しい時間は短くても、うまくいかなかったかもしれません。
本当に総悟も果歩も良い人だから、心の底から2人のそれぞれの恋愛がうまくいってほしいですね。
そして個人的に百花の話はこちらも頑張ろうと思わせてくれて好きでした。
地元に縛られ続けて、職業も流れで、結婚はなくなってしまったけど、いつからでも新しいことに挑戦できるんだなって勇気付けてくれます。
読書にハマった百花の新しいブックカフェを開くという夢、素敵すぎました。
読書好きとしては応援せずにはいられません。
私も自分が好きな前向きになれるような本をたくさん紹介して、すこしでも気持ちが明るくなる人が増えるように頑張ろう。
第5弾まであっという間に読んでしまいました。
占い好きや猫好きな方には本当におすすめです。
綺麗な表紙で癒されますし、ぜひ読んでみてください。
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