早見和真著の『アルプス席の母』を読みました。
母親目線からの新しい高校野球小説として話題になっています。
高校野球経験者も、もちろんそうではない方も楽しめる物語です。
特に挫折した経験がある方は共感できる部分もありおすすめです。
作品情報
書名: アルプス席の母
著者: 早見和真
出版社: 小学館
ページ数: 354ページ
単行本
Kindle版有 ・Audible版有(2024年8月現在)
この本をおすすめする人
- 何かに打ち込んだ経験がある人
- 高校野球が好きな人
- 学生の子供をもつ親
- 挫折を経験した人
あらすじ
秋山菜々子は一人息子の航太郎と神奈川で暮らしていた。
湘南シニアリーグに所属し活躍していた航太郎のもとには関東の様々な学校からもスカウトがきていたが、選んだのはとある大阪の新興校。
幼い頃から憧れていた学校からはスカウトを受けられなかったが、その学校を倒すことを夢見て菜々子と航太郎は大阪に移住することを決意。
不慣れな土地、厳しい父母会、激痩せする航太郎──上手くいかないことだらけの二人は夢を叶えることができるのか。
母親目線から甲子園を目指す、新しい高校野球小説。
読んだ動機
ちょうど高校野球の季節だったので購入してみました。
また「新しい」って言われるとどんなものか気になりますよね。
高校野球は毎年なんだかんだ見ていますが、今年の夏はこの小説のおかげで二倍楽しめました。
感想
個人的にすごく面白くて好きな作品で、絶対手元に残そうと思いました!
この物語がどこまでリアルなのかは分かりませんが、母親である菜々子の苦労している状況がはっきり浮かびます。
自分の息子の夢を応援したい気持ちと父母会でのギスギス感や金銭面での心配が入り混じった複雑な気持ちを抱える親って実際にいるんだろうなと思います。
甲子園出場を夢見る航太郎のことはもちろんなんですが、菜々子にも思わず「頑張れ!」って声援を送りたくなりました。
また母親目線からの高校野球小説でもちろん高校球児の親は刺さると思いますが、学生時代何かに打ち込んだ人や今打ち込んでいる人みんなに刺さる気がしました。
先輩や後輩だけじゃなくて同じ時間を過ごして一緒に頑張ってきた同級生とかと争って、自分が選ばれたら嬉しいけど大きく喜ぶこともなんかできなくて…っていう気持ちがすごくリアルでした。
あと多分運動部あるあるなんでしょうけど、怪我してそれが選手生命に大きく関わってきた時のやるせない感じが辛かったです。
中学や高校での一年ってすごく大きくて本人も辛いし見守ってきた親も辛いって気持ちが伝わってきました。
でもこの物語では、本人がほとんど諦めた状態だったのにも関わらず監督が最後までずっと信じていたのが熱かったです!
部活だけじゃなくて、人生で諦めかけた時に心に染みると思いました。
人が生きるということは、物語とは違うのだ。人生が閉じるわけじゃない以上、いまこの瞬間が終わりじゃない。
『アルプス席の母』早見和真
ほんのわずかでも「まだやれる」という思いがあるのなら、自ら道を閉ざしてはいけない。悔いを残してはならない。
『アルプス席の母』早見和真
もう辞めてしまおうとか、どうせ無理だと思ってしまうような時この本をまた読みたいです。
ちなみに色んなクチコミで運動部出身や今運動部に所属している人におすすめって見たんですが、体育会系文化部こと吹奏楽部の皆さんにもおすすめです!笑(元吹奏楽部より)
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