栗栖ひよ子著の『夕闇通り商店街 たそがれ夕便局』を読みました。
第一弾である『夕闇通り商店街 コハク妖菓子店』に引き続き、第二弾である今作も心温まる物語になっています。
心が洗われていくような感覚を味わえるこの作品をぜひ楽しんでください。
作品情報
書名: 夕闇通り商店街 たそがれ夕便局
著者: 栗栖ひよ子
出版社: ポプラ社
ページ数: 207ページ
文庫本
Kindle版有 (2024年10月現在)
この本をおすすめする人
- 周りの人への感謝がなかなか言えない人
- 友達に嫉妬してしまう人
- 本音を言えない人
あらすじ
「夕闇通り商店街」――そこは幽世と現世の境目にあり、妖たちが営んでいる。
幽世との境界があいまいになったとき、心が不安定な人間が導かれたように訪れるのだ。
その「夕闇通り商店街」唯一の郵便局「たそがれ夕便局」では、ルールさえ守れば過去・現在・未来のどこでも、誰にでも手紙を届けることができるのだという。
訪れた人が想いを伝えたい相手とは、そして伝えたい言葉とは――。
切なくも心温まる物語。
読んだ動機
第一弾がすごく好みだったので第二弾も購入!
感想
第一弾より切なかったー!
特に切なく感じたのは『二通目 長年連れ添った妻へ』と『五通目 ぼくが消えたあとのきみへ』。
『二通目 長年連れ添った妻へ』は認知症を患った男性が、タイトル通り長年連れ添った妻へ感謝の手紙を書く物語。
もう字が上手く書けないほど握力が弱くなっている男性が、明日には忘れてしまうかもしれない妻への感謝の気持ちを必死に書く姿が心にきましたね。
最後は少し悲しさもあったけど、手紙は無事届いて本当に良かった。
この『二通目』を読んだら日頃から周りの人に感謝を伝えるのって大切なんだろうなと思いました。
感謝の気持ちを持てているうちに、伝えたい相手がいるうちに。
そして『五通目 ぼくが消えたあとのきみへ』は病気を患っている小学生の男の子・陸の物語。
自分の命がもう長くないことをなんとなく察していて、「死ぬのが怖い」「自分のことを忘れないで欲しい」そんな思いを抱いている陸。
陸はまだ一歳にもなっていない小さい弟がいるから、わがままは言っちゃいけないと思ってその本音は隠していました。
だけど陸はたそがれ夕便局で今の陸と同じ年齢の頃になった弟宛に手紙を書くことにします。
自分を忘れないでほしいという思いと、お父さんとお母さんを守ってほしいこと、そして弟の名前を付けたのは自分だということ。
陸だってまだ小学生で幼いのに、自分の死と向き合い始める姿がかっこよくて切なくて、思わず泣いてしまいました。
無事手紙が届けられた時の弟の反応も良かったなぁ。
本当に伝えられる間に自分の気持ちを伝えておいたほうがいいんだなって思わせてくれる物語でした。
それは直接じゃなくても手紙でも電話でもいいんだと思います。
「あ~あの時これ言っとけばなぁ」ってならないようにしよ!
\第一弾『夕闇通り商店街 コハク妖菓子店』の感想はこちら/
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